Wednesday 17 February 2010

谷崎潤一郎『細雪』

―映画(1983)を見た後の感想―

授業で谷崎潤一郎の名作『細雪』に関して読み、その後1983年に同じ作品からつくった映画を見た。『細雪』の特別なところは関西の文化と行事がたくさん出て来たことである。谷崎は自分が東京出身であり、37歳から関西に住みようになったとはいうものの、『細雪』の会話が大阪弁で書かれた。

小説は関西の文化について書くだけあって、『細雪』の映画も特に関西風の景色を選び、背景を決められた。例えば、あるシーンは姉妹が嵐山の渡月橋と京都の平安神宮(関西の花見の名所)に花見をすることを描く。登場人物の対話は当然に大阪弁が使われる。映画を見た時、「~へん」「~ねん」「~わ」「~らん」などの大阪弁をよく聞こえた。関西地方の方言は標準語で使われる言葉と異なるばかりか、大阪弁を喋る時に発音と音調も標準語と違う。京都の旅館で食事をするときに、旅館のスタッフも京都弁を喋る。

『細雪』の小説を読むと、本国の著名なビクトリア時代の女作家ジェーン・オースティンを思い出させられた。特にオースティンの最も人気のある作品『高慢と偏見』と『分別と多感』を連想させられた。その二つの小説では、『細雪』のように上流社会に暮らす姉妹の間の関係に関して描く。『細雪』にある駆け落ちと結婚などのトピックは、オースティンの作品にもよく使われた。

花見シーンで使われた背景音楽は『ラルゴ』という曲であることに気がついた。『ラルゴ』は、ヘンデルの作曲したオペラ『セルセ』の中のアリアである。なお、面白いことに、1995年に英国放送協会の好評を博した『高慢と偏見』のテレビドラマも、同じ曲が使われた。

『細雪』はこれまで三度映画化されている。いずれも日本映画史を代表するトップ女優が出演して話題となった。1983年映画版の中でも有名な女優が蒔岡家の姉妹を出演した。特に吉永小百合は今までも映画界で活躍している。

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